平将門の陣幕、旗印は相馬の繋馬の絵で、劇中にも登場しますが、九世紀中葉の阪東武者達は、馬を機動力として大きな力を振っていました。将門の馬も勇壮なさまをあらわして竜の如き馬といわれていました。つなぎこまの由来については、相馬古事秘要集に、「承平年間、関八州に乱がおきようとした時、小金原に野馬が多く育ち、人になつかず勇猛さを誇った。将門はその野馬を敵として士卒を調練した。その野馬の中で最も強い馬を豪敵と見立て勇力の者に力を合わせて捕ぇさせた所、馬は足を蹈立、歯をかみ鳴し、今にも縄を切って逃げんとする勢いに、皆感心し、以来、是を以て軍用第一の幕の紋とした」とあり、荒馬をつなぐという将門の智仁の深さがあらわされているといわれています。 |