11ぴきのねこふくろのなか

ニャゴ、ニャゴ、ニャゴ、ニャゴ、ニャーゴ!
11ぴきのねこは、みんなのらねこ。そして、みんななかま。
ある晴れた日。11ぴきのねこは、だいすきな魚のお弁当をリュックサックにつめて、遠足に出発!
とらねこたいしょうを先頭に、歌いながら歩くうち、きれいな花畑がありました。見ると、立て札があって「はなをとるな」と、書いてあります。はなをとってみたくなった11ぴきのねこは花畑に飛び込むと、花を1本ずつ頭にかざって、ふたたび遠足に出発しました。
また歌いながら歩くうち、つり橋がありました。つり橋の途中に、看板があって「きけん!はしをわたるな」と、書いてあります。11ぴきのねこは橋の向うを目指し、勇気を出してわたり始めました。
無事につり橋をわたった11ぴきのねこは、とても景色のいい、大きな木のある丘に着きました。見ると、立て札があって「木にのぼるな」と、書いてあります。木の上でお弁当を食べたくなった11ぴきのねこは、木に登りました。木の上で食べる魚は、最高!
すると、風に乗って大きな袋が飛んで落ちてきました。袋には「ふくろにはいるな」と、書いてあります。みんなは中にはいることにしました。こうして11ぴきのねこが袋の中にはいったとき、大きなばけもの、ウヒアハがあらわれ、袋の口をしばってしまいました。ウヒアハは、「11ぴきのねこ、ふくろのなか、ウヒヒ、アハハ」と、笑いながら、袋をかかえて山にある自分のお城に向かいました。
さあ、ふくろのなかの11ぴきのねこは、このあと、いったいどうなってしまうのでしょうか・・・。

原作 馬場のぼる(こぐま社刊)
脚色 松本則子
演出 高平和子
人形美術 永島梨枝子
舞台美術 西島加寿子
音楽 一ノ瀬季生
照明 永山康英
舞台監督 奥洞昇
制作 古賀恵子

演出のことば

藤田光平

日常の煩雑さや喧騒を一時忘れて、こどもたちに目を向け、耳を傾けてみましょう。
現代社会はストレス社会と言われていますが、勿論その中にこどもたちもいます。
わたしたちは過剰にこどもたちを追いたて、追い詰め、要求してはいないでしょうか? また、確かにこどもたちは一部の心無いおとなの悪意に晒されていますが、わたしたちは過剰にこどもたちに恐怖を植えつけ、行動を制限し、拘束してはいないでしょうか? おとなの言い分はいろいろあります。が、言いっ放しでこどもたちの言い分はちゃんと聞いているのでしょうか?
「天気がいいから、ピクニックに行こう!」「けしきのいいところでお弁当を食べよう!」と、“11ぴきのねこ”。
のびのびとした素敵な思いつきです。道々、「とるな」で花をとり、「わたるな」で吊り橋を渡り、「のぼるな」で木に登るところも、わたしたちにも身に覚えのある反応です。“11ぴきのねこ”の言い分が聞こえてくるような気がします。
そうして最高に美味しいお弁当を満喫し、最高の気分を味わった後、一転、半ば墓穴を掘って、ウヒアハの罠にはまり怖い目に遭います。しかし、見事な作戦とチームワークで脱出を果たす“11ぴきのねこ”。様々な体験を通して、また一つ逞しく生きていく力を手に入れたに違いありません。