おきゃく、おことわり?

大きなクマと小さなネズミの物語。
森の家に独りで暮らすクマは、毎朝同じ様に目を覚まし、同じ様に椅子に座り、同じ様にミルクティーを飲みます。ただただ静かに誰にも邪魔されることなく“キチンと”生活している事が何よりの幸せ。今日もミルクティーを淹れ、そのあまーい匂いに満足気です。
そこへミルクティーのあまーい匂いに誘われて、一匹のネズミがやって来ました。このネズミは何にでも興味津々、好奇心でいっぱい。ネズミはクマの家の扉をノックします。が、大事なお茶の時間を邪魔されて、クマは強く追い返します。
「おきゃく、おことわり!」
それでもネズミはあきらめません。追い返されても追い返されても扉をノックし続けて、とうとうクマも根負けしてネズミにミルクティーを淹れるのですが…。
大きさも性格も“全く逆”の二人のおかしなお茶会が始まります。さてさて、どうなることやら…。
2016年度 厚生労働省社会保障審議会特別推薦児童福祉文化財を受賞

※上演時期限定

原作 『おきゃく、おことわり?』(岩崎書店刊)
『おとまり、おことわり?』(岩崎書店刊)
文/ボニー・ベッカー 絵/ケイティ・マクドナルド・デントン
訳/横山和江
Used by permission of Adams Literary through Japan UNI Agency, Inc., Tokyo
企画 鶴巻靖子
脚色 宮本敦
演出 奥洞昇
美術 永島梨枝子
音楽 一ノ瀬季生
制作 古賀恵子
上演時間 約55分 (途中休憩なし)

演出のことば

奥洞昇

この人形劇は「おきゃく、おことわり?」と「おとまり、おことわり?」の2冊の絵本から創作しました。どちらも、クマのところへネズミが訪ねて来るお話です。絵本ではネズミが訪ねて来る事で、自身の生活リズムを崩され、慌てふためきながらも“新たな幸せ”を見つけるクマが描かれています。
では、そんな風にクマを導くネズミとは一体どんな“人間”なんだろう?そんな興味にかられ、人形劇ではネズミのドラマも膨らませました。クマに追い出されても追い出されても、決してあきらめないネズミ。その強さが少しずつ、クマの心を動かします。
自分をあきらめない強さと、相手をあきらめない強さ、それは人間をあきらめない強さです。
現代、人間関係が希薄だと感じる事は多々あります。相手は自分を受け入れてくれるだろうか?と怖れる気持ちが過度に働いてしまう。それは、子どもたちの友達関係の中にまでも見られます。
あきらめずドアをノックし続ける小さなネズミと、心動かされる大きなクマ、二人だけの人形劇に“人間をあきらめない強さ”を込めて届けたいと思います。