しろくまくんどこへ?

 ラララ ラルス 真っ白しろくまくん
氷の小山にのって どこどこへ行くの
青い青い海 たったひとりぼっち♪
ラルスは雪と氷におおわれた真っ白い北極に住むしろくまの子。ある日ラルスは氷ごと大海原に流されてしまいます。人間の船に捕まり、そこで茶色いくまの子レアと出会います。ラルスとレアが船から逃げ出すと今度は海が荒れ、波に飲みこまれ、流れ着いた先は鮮やかな花やおいしいバナナのある、色いっぱいのジャングル。ラルスは初めて見る世界に胸はずませます。カバのヒッポやカメレオンなど、大人の動物たちがラルスたちを助けてくれます。そして帰る家がなくひとりぼっちだったレアにラルスは「ぼくたち友達だよ。 北極においでよ。」と言い、最後には無事に北極のお父さんお母さんのもとに帰ることができるのです。
子ども達が新しいことを発見していく喜び、友達が出来た時の喜び、その体験一つ一つを積み重ねてたくましく成長していく姿を描いた作品です。

原作 ハンス・ド・ビア
脚色 東口次登
演出 西村和子
美術 永島梨枝子
音楽 一ノ瀬季生
制作 松澤美保

演出のことば

「厚い信頼は生きる力に」 西村和子

一人でお風呂屋に行ってみようかなと思って、思い切ってお父さんに言ったら許してくれた。お母さんも「行ってもいい」と言ってくれた。「服、まちがえんと帰っといでや」と言われ、「間違えるわけないやん」と胸を張って出かけてきた。そやのに、風呂から上がったら『僕の服がない。』
これでは帰られへん。『ペンギンの子がまちがって着て帰った』と番台のおばちゃんが言うた。なにがなんでも南極まで行って、服を取り返さなあかん。走りだす太郎君。
私は思わずエールをおくります。そやで「ここで、シオシオと帰ったら、二度と親から信用してもらわれへんで」と。
泣きもせんとまっしぐらに走る太郎君。ほらみてみ、世間も捨てたもんやないやろ、手伝ってくれる大人はようさん出てくるやんか。
そやけど、手伝ってくれる大人って、みんなけったいな人ばかりやな。けったいやけど、あったこうて、ええ人やな。
何かに向かってひたすら走る。人に助けられながら、自分の目的を達成する。体を動かして何かをすることが苦手な社会。人と人との心の伝達が会話という形を取りにくい社会。そんな社会で暮らすしかない子ども達に、「こんなことあったら面白いとおもわへんか」「こんなことあったらやれへんか」と子ども達に呼びかけながら創りました。

演出のことば

西村和子

「知らない人に声をかけられたらすぐ逃げる。連れて行かれそうになったら大声を出す」身を守るには仕方ないことかもしれませんが、こんな事を子どもたちに教えなければならないのは、なんとも悲しく腹立たしい世の中です。
主人公のラルスは突然ひとりぼっちで世の中に放り出されます。すべてが驚きと恐怖の世界。そこで出会った大人たちは、ラルスを助け、世界を大きく広げてくれました。お互いが信じ合い思いやる心、信頼から生まれたものは大人も子どもも超えて、深い友情を結ぶ事が出来るものです。ラルスは出逢いの中でどれほどたくさんのことを獲得したことでしょう。信頼は大きな自信になり生きる力になります。初めての知らない世界をラルスと共に冒険の旅をしましょう。
つらいことも悲しいこともあるけれど、魅力いっぱいのすてきな友だちとの出逢いが待っています。
子どもたちが安心して自由に冒険できる信頼の世の中を取り戻すのは大人の責任なのですが。