人形劇『火の鳥』

公演の記録

新潟県新潟市公演
2015/7/26

兵庫県西宮市公演
2013/7/25

 


 

 

ごあいさつ

 2011年3月11日東日本を未曾有の大災害が襲いました。
阪神・淡路大震災を体験したクラルテは、兵庫をはじめ東北、沖縄、北海道と、全国にこの「火の鳥」を届け、共に生きる意味を考えたいと思っています。                    人形劇団クラルテ

宇宙の中の存在として

中村 桂子(JT生命誌研究館 館長)

[写真]

 今では有名になっているすばる望遠鏡。世界一大きな望遠鏡作りの責任者をしていた友人が、その苦労に、会う度にやせていくようで気になったので、”なんでそんなににいっしょうけんめいになるの”と聞きました。
”だってこれで宇宙の涯が見えるんだよ”と答えた時の顔が忘れられません。
そして、本当に見えたのです。それは137億光年先にありました。光が届くのに137億光年かかる所ですから、今望遠鏡に入っているのは137億光年前にそこを出た光です。
これは宇宙の誕生が137億年前であることを意味します。次官と空間はこうして結びついています。そして、この時宇宙で生まれた質が、今、私たちの体に入っているのです。
”科学”は、科学技術や機械と結びつけて捉えられ、非人間的なものとされていますが、実は、宇宙、地球、そして生き物や私たち人間の生命を語る”物語り”を作っているのです。その”物語り”の中には死もあります。星も生き物たちも人間も、生まれては死に、また生まれては死ぬを繰り返しながら続いてきたのです。
手塚治虫作「火の鳥」の底には、この物語りがあります。この壮大な空間の中の長い長い時間の流れは単調にはできていません。生と死の中に戦いがあります。「続いていくこと」は厳しいことなのです。
 ところで、この流れの中で、唯一”考え””愛する””思いやる”などができる存在として生まれてきたのが人間です。なぜこのような存在ができたのか。科学は偶然の産物としか答えてくれません。偶然でもいい。私たちは、考える、愛する、思いやることのできる存在としてここにいるのです。
だったら、この力を思い切り使いましょう。生きる力の中に組み込まれた”争う”という力を、愛する力に転換していく努力をしてこそ、単に”生きる”だけでなく、”よく生きる”ことができるのです。
 これが、私たちがここに生まれ、存在する意味なんだよ・・火の鳥はそう語りかけていると私は思っています。

火の鳥募金出資者一覧表