ごあいさつ
あらすじ
スタッフ・キャスト

「動物農場」から「新・動物農場」へ

東口 次登

オーウェルと『動物農場』

川端 康雄(日本女子大学教授)

「父とジョージ・オーウェル、私と動物農場」

羽深 加寿男

ジョージ・オーウェルの生きた時代とロシア革命

出演者のことば

シュールに!ミステリアスに!

西口司郎(イラストレーター)

『願い』

松原康弘(人形美術)

「新・動物農場」の舞台にむかって

西島加寿子(舞台美術)

『自由への歌』

一ノ瀬季生(音楽

稽古フォット

 

「動物農場」から「新・動物農場」へ

翻訳・脚本・演出/東口 次登

   

 今回の作品は1999年に上演したものに、新たに手を加えたものです。
 初演の時は、2000年問題で世紀末を叫ぶ人もいて不安な年でした。そして東海村の核燃料工場で日本初の臨海事故が起きました。作業工程に「裏マニュアル」があり、結果被爆者を出し周辺住民が避難し、約30万人が屋内待避をしました。あれから12年、東日本大震災が発生し、福島原発事故の処理は一年半すぎた現在も問題は山積みです(東海村の事故は活かされたのでしょうか?)。この事故での国の対応の危うさや、国民が国に本当に守られているのだろうかといった当然の疑念が原発反対デモなどにも現れている気がします。そして貧困率が上昇し、消費税も上がり、仕事が見つからない人や老人や子どもたちは、誰が守ってくれるのでしょうか?
 そこでもう一度「動物農場」の上演を決意しました。原作は旧ソビエト連邦の神秘を暴くために書かれていると言われますが、現在の日本にもよく当てはまる内容です。いつの世でも権力は腐敗し、国民には平等と唱いながら一部の力あるものが支配する、そして法律が都合のよいように変えられ、基本的人権が失われていく。3・11後、今が特にその時代のように思えてなりません。個々人がこれからどう生きて行くべきか、それぞれが判断し決断しなければならない世の中になったような気がしてなりません。
 こう書くと未来や希望のない本に思われますが、オーウェルはもっと民衆がそのことに早く気づき、より豊かな社会をつくってくれることを望んでいたと思います。あえて動物による寓話にしたのは、動物独自の持っている個性とそこから想像させられる愉快な人間像で持って、このディストピアな世界をユーモラスに表現したかったのだろうと思います。
 今回は、動物たちが『♪自由に大地を駈ける(革命歌)』世界を描くために、希望のもてる作品に書き換え「新・動物農場」としました。オーウェルはきっと許してくれると思っています。